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弁膜症(大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症)に対する低侵襲カテーテル治療

日本大学医学部附属板橋病院および日大病院は連携して弁膜症診療に携わり、手術リスクの高い患者さんを対象に、胸を大きく切開することなく行える低侵襲カテーテル治療を行っております。

僧帽弁閉鎖不全症に対する経皮的僧帽弁クリップ術(MitraClip®
大動脈弁狭窄症に対する経皮的大動脈弁置換術(TAVI/TAVR)

僧帽弁閉鎖不全症の治療

僧帽弁は心臓の左心室と左心房の間にある弁で、その弁が形態学的もしくは機能的に閉まりきらないことで、左心室から左心房に血液が逆流する病気が僧帽弁閉鎖不全症です。

重度の僧帽弁閉鎖不全症は、息切れや足のむくみを生じ、進行すると心不全を発症します。従来は、胸を開けて行う外科的手術(弁置換術、弁形成術)が行われてきましたが、高齢の方や、他の病気を持っていて手術のリスクが高い患者さんは、手術を受けられないこともありました。しかし、MitraClip®を用いた経皮的僧帽弁クリップ術は、外科手術に比べて体への負担が少なく、手術リスクの高い患者に対しても治療が可能になりました。

日本大学医学部附属板橋病院では2023年9月からこの治療を実施しており、合併症なく、患者さんの状態は順調に改善しています。

適応:手術リスクの高い僧帽弁閉鎖不全症が対象となります。
循環器内科医、心臓外科医などの多職種からなるハートチームで議論し、最終的に治療方針を決定いたします。

大動脈弁狭窄の治療

大動脈弁は心臓の左心室と大動脈の間にある弁で、加齢などを原因とする動脈硬化の進行で、弁そのもの変性や石灰化により開けなくなる病気が大動脈弁狭窄症です。重度の大動脈弁狭窄症も息切れや足のむくみを生じ、進行すると心不全を発症するだけでなく、狭心症に似た胸痛や失神を来すことがあります。また、突然死の原因になることも知られています。従来は、胸を開けて行う外科的開胸手術(弁置換術、弁形成術)が行われてきましたが、高齢の方や、他の病気を持っていて手術リスクが高い症例は、手術を断念することがありました。経皮的大動脈弁置換術(TAVI)は外科手術に比べて体への負担が少なく、手術リスクの高い患者に対して治療可能となりました。

日本大学病院で従来から実施しております。


適応:手術リスクの高い大動脈弁狭窄症が対象となります。
循環器内科医、心臓外科医などの多職種からなるハートチームで議論し、最終的に治療方針を決定いたします。治療適応のある患者様は当院から日本大学病院にご紹介いたします。

日本大学医学部附属板橋病院と日本大学病院の連携による弁膜症診療・治療

日本大学医学部附属板橋病院と日本大学病院は連携診療を行っております。

弁膜症が疑われる患者さん(健診で心雑音の指摘、労作時息切れなど)を当院で検査、評価した後、経皮的大動脈弁置換術が必要な場合、日本大学病院にご紹介いたします。また、日本大学病院の経皮的大動脈弁置換術を行っている医師(深町大介先生)が週に一度、月曜に当院でTAVI外来を行っておりますので、そこで手術に関する詳しい説明をお聞きいただくこともできます。

私たちは、患者さんが安心して治療を受けられるよう、シームレスな診療体制を整え、患者さんの満足度向上に努めています。どうぞご安心ください。